日本大学藝術学部剛柔流空手道部OB会掲示板NUGK OPINIONS

NUGK OPINIONS

~ 空手という武道を通して何を最終目的とするか ~

田中 元和Genna Tanaka

≪ 2.「目的」と「本質」の模擬実体験 ≫


2.現代空手における沖縄唐手の「目的」と「本質」の模擬実体験

  沖縄唐手の『突きと蹴り』による必殺技の習得は、顔面と喉元、腹部水月と金的、膝関節などの急所を狙うことを目的とした唐伝来の手(ティー)をもって、これを唐手の武術技として体得し、突きは「開掌(貫手)」を主体にして顔面等に打撃を与える。蹴りは足刀による膝関節などの急所砕きと金的蹴り、更に踵蹴りによる水月及び下腹部に打撃を与え、時には握拳で鉄槌や裏拳で顔面を叩きつぶし、髪の毛やのど元を握りしめて手元へ引き寄せ、目や喉に致命傷となる貫手を敢行する。この沖縄唐手の「本質」を模擬実体験することでもって、その「目的」を理解することにある。

  沖縄空手による『投げ』の必殺技の習得は、相手の手首や襟元を取って相手と体を密着させずに相手の体の反動を利用して投げ飛ばし、相手を手首固めや相手の急所に足刀底を打ち込み息の根を止めるという「本質」を模擬実体験することでもって、『投げ』の必殺技の「目的」をも理解ですることができる。

  唐の手(ティー)が沖縄に上陸した頃の唐手は、急所への決め打ちの度合いによっては、相手が徐々に内臓を痛めることによる三日殺し、十日殺し、三十日殺しなどの名称が生まれたという。まさに沖縄唐手は武器を持たずに手や足によって、刀同様の殺傷力をもつことで生まれた武術であったことを先ずは理解して、現代空手ではこの発祥当時の唐手を模擬実体験によって検証してみて、その殺傷力を知ることだ。
この検証によって、当時の唐手の「目的」と「本質」を理解して、現代空手ではこれらの口頭伝承されてきた『稽古』から、新たに現代に合った独創性を持つ『練習』へと切り替えて取り組む必要もあるということだ。

  『稽古』では、武備誌等の絵事から解析して手(ティー)の源流に迫り、更に、その手(ティー)をもって刀に代わる凶器として発祥した沖縄唐手武術の『本質』に迫る。

  『練習』では、自らの「目標」を設定して現代空手で目指すものは何かという「目的」を明確にして取り組み、それを繰り返し繰り返して練習することで自分用の得意技を習得し、更には、心身の向上にも励み、その極みとして『空手道精神』へとつなげることにある。

  現代のスポーツ格闘競技や現代空手競技では、目を突いたり急所を蹴ったりすることを禁ずる「ルール」を設けているが、空手の原点である沖縄唐手では、逆に武器を持つことを禁じられていたことから、現代のルールで禁止になっている目を突いたり急所を蹴ったりすることでもって、武器同様の攻撃力と殺傷力を持つことで成り立っていたことを模擬実体験することで改めて空手発祥の原点を知ることだ。


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