日本大学藝術学部剛柔流空手道部OB会掲示板NUGK OPINIONS

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~ 空手という武道を通して何を最終目的とするか ~

田中 元和Genna Tanaka

≪ 10.試合組手の練習 ≫


10. 試合組手の練習。相手と相対して練習すること。
.......(右利きを対象にして)


  柔法的に相手と対峙して最初はゆっくりと正確に繰り返し何回も以下の要領を頭に描きながら行うこと。30回ぐらいやったら交代して受けに回って防御すること。

  試合組手の練習は、判定が審判の試合を見る印象度で判定されることが多いから、右正拳上段突きや右中段突きは突いた後の右の引き手が取れているかどうかが判定の高い印象となるケースが多いことから、試合組手練習では

1)右の突きは突いたらしっかりと引手を取るということが最も大事なことだ。そして、

2)左手はできるだけ相手側胸元か顔面に受け手の状態にして、左の受け手と右の引手の差を大きくすることで決めの印象度を強くすること。また、

3)構えは決めたと同時にやや腰を落とした状態で左前足右後ろ脚の猫足立ちに近い、猫足よりは足幅をやや広くとって構えのキメを取ることだ。

  以上の3点をセットにして繰り返し練習すること。

  蹴りに関しては、剛柔流全国大会を見ての印象だが、突きの判定に比べて蹴りの判定は2割にも満たなかったことから(※少年の部の蹴りの決まり判定は3割を超えている。少年は柔軟性があるから蹴った後のやや蹴り込んで蹴り止まったような形をとることで蹴りの決めの印象度が高いのだと思う。)、少年の部同様に右の正面蹴りが終わった後の残像的なやや蹴り止まった印象と、突き同様にすぐに足を引くこと、猫足に近い構えを取れるかどうかで審判への決めの印象度が違ってくると思うので、これらを頭に描きながら繰り返し練習をすることだ。
  最初は、正確にゆっくり蹴り込む練習をするのは蹴り込んだ際につま先を相手の膝頭に当てて突き指捻挫しないようにすることが大事だから、練習では蹴りの正確性が要求される。

  相手と対峙して受け側に回った方も、最初は攻撃側に好きなようにさせて突きや蹴り込みをさせて、攻撃側の繰り返し繰り返しの練習に付き合うことから始める。
  何回か受け側と攻撃側の交代を行ったら、練習の後半には相手にうまく突かせない蹴らせない受け側の防御の練習も行うこと。
  1)突かせないために、半身の態勢を取るとか、2)構えを右構えから左構えにスイッチするとか、3)少し左右に移動して攻撃側の気をそらすとか工夫して、相手にとって想定外と思われる防御態勢を取りながら、攻撃を受ける練習を何回も繰り返し行うことだ。これも最初のうちはゆっくりとスロービデオで見るような動きで受け側と攻撃側それぞれが正確に行うことが大事だ。慣れてきたら攻守ともにテンポを上げて、更に繰り返し繰り返し練習することだ。

  次に、独り練習で反省しながら突きや蹴りを行い、その日の反省を必ずノートに書き込むこと。
1週間ほど相手と対峙して、柔法(スロー)による練習をしたら、週に1回は試合形式で、最初は柔法的なゆっくりとした試合組手で、後半は剛法(ノーマル)な試合組手で誰かを審判を立て、試合場サイズ幅にテープなどを貼って正式な大きさを決めた枠内で行うようにすること。
  攻撃側にも受け側にも試合組手には、自由組手同様に、フェイントあり、牽制あり、機先をそらすことあり、かわし方あり、カウンター攻撃ありといろいろな展開のプロセスやアプローチがあるから幾通りもの戦略はあるが、とりあえず基本的でノーマルな形で試合に臨む戦い方を取り上げてみた。
その他、いろいろ練習方法はあるが、先ずは以上のことを実践してみることだ。



  「型」は空手らしい味があり、奥深いものがあるので、いろんな教本的な基本ものがあったとしても、それより優先して「型」の稽古(練習)に取り組むことを勧めます。
  剛柔流の「型」は他の格闘技や空手流派との差別化のためにも必要なことだし、組手にも空手らしい動作を取り入れるという意味でも稽古(練習)することだ。

  次回、機会があれば、型について述べて、それをもって私の掲示板への掲示を終了にしたいと思っております。



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以上。

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22代 田中元和


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