日本大学藝術学部剛柔流空手道部OB会掲示板NUGK OPINIONS

NUGK OPINIONS

~ 空手という武道を通して何を最終目的とするか ~

田中 元和Genna Tanaka

≪ 組手に必要な要素 ≫

5.の段階


 5.の段階の具体的な練習方法

  3つほど、自分の得意技を決めること。その得意技に入るためのプロセスを確立すること。

  自分の得意技は3つぐらい作る。
  自分でやれそうな、又は向いていそうな技といえるものを模索して、決めたら徹底的に繰り返し練習することで自分の得意技を作ることにある。
つまりは、得意技を決めたら、それを成就させるために、これらを主体的に反復練習することにあるということだ。


  得意技の確立
  私の得意とする決め技の練習

  私の目指している空手の突きは、左からの牽制と言うよりは鋭い突きを相手の胸倉(心臓)にめがけて当て、一時的に相手が立ち止まる瞬間に右の上段か中段への正拳突き(ストレート)を打ち込むことを練習している。必ず相手の心臓をめがけて心臓に的を絞って打ち込むことです。強く打ちすぎると相手がのけぞり、右の正拳突きが流れて正確性を欠きます。
この手法は、左からの突きで相手がたじろぎ後退するほどに打ち込むのではなくて相手を一瞬立ち止まらせることで、相手が動くことで右の正拳がかわされ、外れて流れることのないように正確に相手の正面を捉えることにあり、私が突き技で最も重要視している練習方法です。
  更にもう一つは、ムエタイ(タイ式キックボクシング)遠征時から応用した左で牽制的に突いて、相手の懐に自分の体をすべり込ませて体をやや沈みこませながら右回転してバックハンド打ち(時にエルボー打ち)して相手の首筋か顔面及びテンプルかに空手的に言えば裏拳側で打ち込むという、後ろ蹴りに似たかなり強烈な打法です。


  私の目指している空手の蹴りは、下段回し蹴り(ローキック)による膝蹴り膝関節蹴りから中段回し蹴り(ミドルキック)による脇腹及び臀部への蹴り、更には上段回し蹴り(ハイキック)による首筋裏への蹴りへとつなぐことにあります。更に下段回し蹴りして膝にダメージを与えてからの相手の金的急所を射止めるために下から左足甲による金的蹴り上げで仕留める方法です。実戦的には相手への金的急所攻撃は反則になるが、唐手に原点回帰した空手技として習得しています。当たれば相手はのたうち回るかうずくまります。
  更に、もう一つは右足による下段回し蹴り(ローキック)で相手の膝関節の動きを止めて、左足軸回転による右足右回転しての相手への下腹部あるいは水月にめがけての後ろ踵ストレート蹴りです。私はこれを最も得意技として日頃から繰り返し練習しています。


  私の目指している空手の投げは、「型」分解組手で使用されているような何パターンかの投げ技ではなくて、二つを必殺の投げ技としてマスターすることに主眼を置いて実践してきました。
その投げ技の一つは、クルルンファにあるような相手の手首を取っての背負い投げに近い状態で相手の懐に深く腰を入れ相手の手を前方に突き出し、空中投げのように自分の前方に相手を投げ飛ばすこと、すぐさまその後に足刀踵落としで相手の首や顔面を攻撃すること。更にもう一つは、相手の体重を利用して自らの足を相手の首にからませ、左足は相手の首の後方から巻き付け、右足は相手の首の前方顎下に絡ませてシザーズ(挟み撃ち)して右手は相手の左わき下に入れて、下向きに自ら回転して相手をも回転させ真下に投げ落とし、すぐに自分の一方の左足を抜いて腕十字固めに決めてギブアップさせること。これをそのまま続行すれば腕が折れるか、腕の腱が切れるか、呼吸困難による窒息かという状況の技をシンプルに繰り返し練習していることにあります。古くはビクトル古賀(私がプロレス担当をしている時に接触)やホイス・グレーシー、アンデウソン・シウバなどが得意としている。

※分解組手に見られるクルルンファ「型」による相手の手首を取って背負いの状態で担ぐようにして相手の腕を前方にへし折るような肘関節砕きと思われる分解技は、実際に約束組手形式ではなくて実戦の組手形式でやってみると分かることだが、腕の太い腕力のある者や背の高い者や体重の重い者には効果が無くて、逆に上から体重を掛けられて伸しかかられ抑え込まれて潰される羽目になるということだ。ここで説明している上記の空中投げに相当する投げ技は相手の懐に柔道の背負い投げのようにすべり込んで、相手とあまり体が接触しないようにして投げ飛ばすという、相手の身長や体重を利用して自分の体が相手にとって邪魔になるテコの原理で反動させて前方に投げて決めるものである。本来のクルルンファの型はこれを想定したものであったと私は想定している。

  伝承芸能とりわけ唐手の伝承型に例を取ってみれば、絵時として細やかに記録して残された分解ものは無く、また現代におけるような超スロービデオ分析による分解で明らかにされることでもなかった当時の時代背景においては、師匠から弟子への口頭伝承であり、これを体得による伝承でもって、宗家家元がこうだとしたらそうなのかと反論余地が無かった。昔は、宗家に異論を唱えれば組織を乱すものとして弟子は破門と言う憂き目に合う時代であった。この口頭伝承は、例えて、紙の筒による電話式伝達方法であり、幼少の頃よく学校でやった紙の筒をお互いの耳や口に当てて、横並びに大勢で伝承していったことがあるが、極端に言えば最初の伝承者の「あいうえお」が最終では「かきくけこ」になって最終伝承者に伝わる程に解釈が違ってしまうような、まさに師匠から弟子へと型の分解伝承がなされてきたということだ。現代においての古典型分析は、自ら実戦の組手で実証することと、文献を詳細に解読することによって、唐手の古典「型」の成り立ちを分解して、当時へ原点回帰した立証をする必要がある。

...その他に、右利きが主に使用する左手を牽制打のようにして、左突きから相手の懐にとび込んでの肘による打ち抜きをも繰り返し練習しています。また、左手側から合気道的な手法で相手の打ち込んでくる出花に併せてタイミング良く相手の肩を突いての倒し技をも繰り返し練習しています。

  以上が、私の得意技とするための練習方法の一環で、5の段階の具体的な練習方法の一例とします。


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