日本大学藝術学部剛柔流空手道部OB会掲示板NUGK OPINIONS

NUGK OPINIONS

~ 空手という武道を通して何を最終目的とするか ~

田中 元和Genna Tanaka

≪ 組手に必要な要素 ≫

1.の段階


1.の段階の具体的な練習方法

  猫足立ち等で相手と対峙してみること。
  相手との「間(時間)」と「間合い(距離)」の取り方を測ることと、常に目前にある相手の圧力にも慣れること。


1)相手と対峙することから始める。

①、これまでの稽古の特徴であった向かう先に相手のいない基本移動から、相手が常に自分の面前にあるという圧力感に先ずは慣れること。

➁、相手との「間(時間)」と「間合い(距離)」を測ること。   
  「間」とは、猫足立ちからいったんリセットして息抜きをするわずかな時間のことで、再度猫足立ち構えして攻撃態勢に入るためへの空間的(一瞬の間)時間。
  相手と対峙して、猫足立ち構えそのままの状態では苦痛で3分間戦えないことを先ずは実感してみて、いかに疲労しないようにして猫足立ちで再攻撃の態勢に入れるかを体験してみること。
  右利きを主体にした左前足猫足立ち構えの場合には、体重比率左足3右足7の状態のまま、更に腰をわずかに低く落とした状態で3分間にらみ合いをするだけで、体重のかかっている右後ろ足はコチコチに固まり、いざという時にこの右足が即座に反応して動くことが出来ないことをも実感してみること。これを猫足立ちで相手と対峙して左足右足の体重比率を2対8では1分も猫足で立っていられないことも実感してみて、比率2対8は比率3対7に比べて効率が非常に悪いことをも体験してみること。
  比率2対8は「型」動作の猫足や「型」終了時の猫足立ち姿勢であると理解すること。

③間合い(距離)は、相手とどの距離時点で自分から攻撃態勢に入れるか、あるいは相手から攻撃されるかを実体験してみて、自分の攻撃と守りの間合い(距離)を知ること。


2)左右前後に動いてみて相手との間合いを測り、攻撃態勢に入れるポイントを探る。

①.できることなら、猫足立ちを基本とした構えでもって左右前後に動き、更には左足前の猫足構え(右利き構え)から、右足前の猫足構え(左利き構え)にスイッチして、左右前後に動くことによって相手との間合いを測り、長時間の猫足立ちで後ろ足が固まってしまい、いざという時に思うように動けなくならないように、常に相手との間合いを測りながらスイッチなどして利き足が疲労しないようにして、相手の懐に飛び込む機会を狙い攻撃ができるバランスをとること。

➁.前後左右に鋭く動いて相手との間合いを詰めたり、息抜きの距離をとったりして、相手からのプレッシャーというか威圧に慣れる体験をすること。また、逆に相手にプレッシャーと威圧をかける状況を作ること。こうして組手において、相手が面前にあって対峙していても「普通の心理状態」でいられる状況に慣れること。 

  

3)3分間この相対した態勢で間合いを測りながら真剣に動くこと。

①.3分猫足立ち構えで相手の左右前後あるいは相手に対して円運動で動き、どの間合いが飛び込めるチャンスかの機会をうかがう練習をすること。

➁.3分経ったら1分間の休憩を入れること。猫足立ち構えでの3分は想像以上に疲れることから、この3分間でどのように構えて息抜きをも入れられるか、そして相手を威圧して、自分は疲れないようにして相手をいかに疲れさせることができるかを研究しながら練習すること。

真剣勝負の場合は、3分以上の時間を続けると決め技に持っていくための息が持たないことと、1分の休憩をすることでもって新たな力と気合が生ずること。この1分の休憩が怪我をしない体作りと緩急の間合いを学ぶことができること。実際に外敵と戦った場合には3分が決め手としての限界時間であることをも納得してみること。更に、これに慣れてきたら、試合組手の延長戦をも想定して1分の休憩を20秒の休憩に短縮して更に2分間続行してみて耐久性をも養うこと。

こういうさまざまな体験をすることによって自由組手の他に、試合組手における延長時間にも慣れることができ、時間配分を考えながら戦略的に闘うという意識も常に持つという経験ができること。
  今までの古典伝承の基本移動や基本を学ぶ時における休憩の無い「稽古」は、時間経過とともに真剣度が薄れて惰性的な動きになり、一つ一つが疎かになるということを反省して、組手練習に取り組むことにあること。

また、従来の基本団体移動稽古では、相手が面前にいないことで突きや蹴りを繰り出す目的位置が漠然とした状態であることから、相手のどこを狙うかという正確性がないことをも反省して、相手と常に対峙して組手構えで1対1の状況で正確に臨んでみること。


4)先ずは、これを約2週間続けてみること。「間(時間)」と「間合い(距離)」と猫足立ちによる態勢は、他流派との差別化のためにも剛柔流組手における最も基本的なことなので時間をたっぷり割いて相手と対峙してみて、猫足立ち構えでどの程度長時間出来るかを繰り返しの「練習」でもって体験することにあること。


5)これを2週間続けて慣れてきたら、猫足立ち構えからいったん相手との間合いを大きく取って息抜きしながら再度同じ態勢の猫足立ち構えに入り、スイッチして逆構えの猫足になることで呼吸を整える練習をすること。


6)猫足立ち構えに慣れたら、次の段階として四股立ち構えや後屈立ち構えで相手と相対してみること。それぞれの構えを左右スイッチして、後屈立ち構えから猫足立ち構えにしてみることもやってみること。更に、慣れたら応用として掛け受け構えや鶴頭受け構えや打ち小手構え、鷺足立ち構えなどで相手との間合いを測ることも試みること。


  現代では、「型」は型として、「組手」は組手として取り組み、古典の「型」と現代の「組手」との関係をいったんリセットして取り組む必要がある。
  古典の「型」から生まれた「約束組手」や「分解組手」は、「現代組手」のように実戦的ではないので、古典空手の成り立ちとしてだけ理解する稽古にとどめておき、今後は現実的で実質的な組手の対応を模索する練習に多くの時間を割く必要がある。

  「型」は踊りではないというが、そういわれれば言われるほどに悪く言えば踊りであって、体よくして言えば空手界の演武であり、空手武道の舞でもある。
「型」は舞踊界の花柳流の舞を空手流に演じた舞と言えるものだということを、実戦組手を体験することでもって、これが実用的でないことを知り、これからは現代空手に即した攻撃や防御を、古典の「型」に相当する実用性のある攻撃技や防御技のパターン化が必要であることを実感することにある。


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